学術連盟 法学会
TOP
法学会とは
委員長より
活動内容
討論会
ゼミ
合宿
講演会
OB会
総会
組織構成
掲示板
リンク
メール メール
討論会

 

平成17年度 第2回 関東学生法律討論会 問題 
 Aは、Bの設営する夕陽ヶ丘団地の住宅を賃借し、居住していた。Bは、都市地域における勤労者が健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住性能と居住環境とを有する集団住宅を供給することを目的として設立された特殊法人であり、平成2年、夕陽ヶ丘団地が老朽化したため、その建て替え事業を行うことにした。
 平成2年10月30日、夕陽ヶ丘団地の居住者説明会において、Bは、Aら居住者に対し、平成4年10月末日までに、建て替え後の賃貸住宅への入居、建て替え後の分譲住宅への入居、他のBが設営する賃貸住宅への移転、他のBが設営する分譲住宅への移転、民間住宅等への移転のいずれかを選択し、当該賃貸借契約は合意解約して、居住建物を明け渡すように申し入れた。また、建て替え後の新団地である「エスト朝日ヶ丘」内の分譲住宅を購入することを選択した者に対して、Bは、一般公募に先立つ優先購入の機会の確保、入居する住宅が完成するまでの仮住居の確保、移転費用相当額の支払い、および、家賃等の一部補填相当額として金100万円の支払いという条件を提示した。なお、建て替え後の分譲住宅の譲渡価格は、3DKのタイプで3500万円であった。
 Aは、建て替え後のエスト朝日ヶ丘内の分譲住宅の購入を希望し、上記期限までに従前の賃貸借契約の合意解約に応じて、居住建物の明け渡しを行い、かつ、Bとの間で上記の諸条件を内容とする覚書を締結した。この覚書2条1項には、優先購入については、「Bは、建替住宅への入居が可能となった場合には、住民に対して、公募に先立ち、優先して住宅をあっせんする。」と規定されていた。
 平成6年7月31日、Aは、Bとの間で、エスト朝日ヶ丘内の分譲住宅(3DKのタイプ)の譲渡契約を締結した。その譲渡価格は、3500万円であった。ところが、Bは、Aとの譲渡契約締結の時点において、その譲渡価格が高額に過ぎ、かりにその価格で未分譲住宅につき一般公募を行っても買手がつかないことを認識していた。そのため、Bは、Aに分譲住宅をあっせんした後直ちに未分譲住宅の一般公募をする意思を有さず、しかも、その旨をAに対して説明していなかった。
  その後、Bは、エスト朝日ヶ丘の未分譲住宅の一般公募を行わず、平成10年10月1日、未分譲住宅(3DKのタイプ)を2500万円に値下げした上で一般公募を行った。
 この事案において、Aは、Bに対して、Aへの分譲価格と値下げ後の分譲価格との差額相当額(1000万円)および慰謝料を損害賠償として請求することができるか検討せよ。

出題 立教大学大学院法務研究科教授 野澤正充先生
 

平成17年度 討論会結果一覧へ
 
   
ページ最上部へ ↑