XとYは、以前Aのグループと盛り場で喧嘩となり、Aから激しい暴行を受けたためにYが重傷を負った。Yはそのことを恨んでおり、Aを自分と同じような目に遭わせようと考えた。しかし、重傷を負ったYにはそれは無理に思われたので、仲間のXに依頼した。Xは、Yの依頼に応じ、ライフル銃を所持した上で、「この間の件で話がある」を言って、Aを人気の少ない林に呼び出した。Xは、Aが特殊警棒を所持しているのを見て、「危険かも」と思ったが、親しいYから頼まれたこともあり、計画を実行することにした。Xの計画は、後ろをついて歩いているAに振り返りざまに足払いをかけ、倒れたところに、コート内に隠していたライフル銃をその足に向けて発射し、重傷を負わせるというものであった。計画通りXは、Aに足払いをかけたが効果はなく、逆に屈強なAに組み敷かれ、身動きの取れない状態となった。さらにAは、「この卑怯野郎、死ね」と言いながら、特殊警棒をXの頭部に向かって振り下ろそうとした。Xは、このままでは屈強なAに殴り殺されると思い、相手の生命に関わることは承知しつつも、自分の体勢からすると他に仕様がなかったので、コート内に隠していたライフル銃をAの左胸部に目掛けて発射した。弾丸はAの左肺に命中し、Aは失血死した。
XおよびYの罪責を論ぜよ。ただし、特別法違反の点は除く。
出題 立命館大学法学部助教授 安達光治先生
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