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平成22年度 第2回 関東学生法律討論会 問題 
問題: 事前の違憲審査と事後の違憲審査―権力分立論を踏まえた憲法論的構成

出題者の意図:日本国憲法81条はいわゆる違憲審査制を定めている。その解釈のあり方は今日アメリカ型の付随的違憲審査制と解されていて、ドイツに代表される憲法裁判所型の抽象的違憲審査制を取らないといわれる。そのように解釈されるにいたった事件の分析と学習は今も熱心に行われ、このテーマは各種判例集では必ず取り上げられるほど重要視されている。そのような確立した解釈を争う理由はないに違いない。ところで、世界的に見たとき、違憲審査制の実際の形態は多様である。このように、日本国憲法を条文と判例に即して理解するとともに、日本国憲法を世界の憲法の中に置いて、日本国憲法のあり様を考える態度もまたあってしかるべきだろう。 たしかに、日本では憲法81条のほかに、内閣法制局設置法3条がある。同法3条は、長い歴史をもつが、その権限として法律案等の審査を行う審査事務と法律問題で内閣に意見を述べる意見事務を定めている。この事務を通して内閣法制局は憲法解釈の統一を図る。例えば、集団的自衛権に関して憲法9条の解釈に変更はない。したがって、一方は憲法で、他方は法律で違憲審査にかかわる事後と事前の極めて重要な作業が展開
されている。ところが、内閣法制局の審査事務は内閣つまり政治部門に位置付けられ、裁判所の違憲審査は司法部門に位置付けられ、時として両部門の架橋は考慮されない。また、政治部門では憲法の実現が意図され司法部門では憲法の枠が重んじられ、時として両部門の狭間が意識される。 もしこうしたいわば橋のない川や峡谷があるとすれば、権力分立論に立ちつつも憲法全体の価値の維持との関係の中で二つの違憲審査制の役割と機能はどう考えられるか、こういう問に対する自由なそして学説の間隙を埋める理論が提示されて欲しいものである。

出題 明治大学法学部教授 笹川紀勝先生
 

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