HOME >> 討論会 >> 2014年度関東学生法律討論会

第17回新島襄記念法律討論会【民法】

日時:2015年3月7日 於・同志社大学



分野:民法
                     
1. 学校法人Aは,P大学を設置しているほか,P大学付属中学校及びP大学付属高校を設置していた。P大学付属中学校及びP大学付属高校は,難関校と称されることはなかったものの,地域における中堅の進学校として知られていた。
2. Aは,2010年度より,P大学付属中学校及びP大学付属高校を中高一貫校として編成替えをすることとした。そして,6年間を通じ,外国人教員による実践的な英語教育,4年次後半から5年次前半(高校1・2年生に相当する。)におけるイギリスの著名なハイスクールへの1年間の留学と単位互換その他の多彩な国際交流,5年次後半及び6年次におけるP大学理学研究科の研究者による授業ほか理数系科目の高度な教育を柱として位置づけることを大々的に公表し,学生募集案内や,保護者を中心とする入試説明会,模擬授業などで,この旨を積極的に宣伝した(その後に,Aは,中高一貫校への編成替えについて,文科省より認可を受けた。)。
3. Bは,2011年4月に,Aが設置した中高一貫校に入学した学生であり,Cはその母である。Bは,小学校時代に神童ともうわさされ,卓越した成績をおさめており,将来,アメリカの研究機関で宇宙学の研究者となることを希望していた。
4. Bは,入学後3年間,入学した中高一貫校のカリキュラムに従い,学習を重ねてきた。ところが,入学後4年目(高校1年生に相当する。)の2014年6月に,Aは,突然,在学生および保護者あてに,「イギリスの協定校との協定が先方の都合で本年7月をもって破棄されること,その結果,在学生の留学派遣が今後できなくなったこと,また,P大学理学研究科の教授会の意向を受けた学校法人理事会の経営方針の変更に伴い,中高一貫校での研究者による授業の実施が困難になったこと」を告げる文書を送付した。同年7月初旬には,英語担当の外国人教員の複数名が待遇に不満を示し,同年9月末をもって退職する旨の通知をA法人理事長あてに提出した。
5. Bは,自分が期待していた授業を受けることや,留学の機会が閉ざされたことを知り,ショックを受けた。著名大学への入学をめざして勉強をしてきた小学生時代のBの友人たちは,別の中学を受験し,さらに,別の著名進学校へと進学し,着々と学習を進めている。Cもまた,話が違うではないかと考えるようになり,たとえ1年を棒に振ることになっても,来年4月に,学校法人Dの経営するQ高等学校(難関校として,全国的にも有名である。)にBが入りなおしたほうが,Bにとってよいのではないかとも考えるようになっている。Cは,既に支払った入学金を返してもらいたいし,2014年度後期以降の授業料を払うことに対しても疑問を抱くようになっている。
6. 現在は,2014年9月である。英語担当の外国人教員の補充はできていない。

 以上の事実を前提にして,以下のことを論じなさい。

(1) Cは,Aに対して,何らかの請求をすることができるか。予想されるAからの反論も踏まえて,その当否を理論的に検討しなさい。
(2) Bは,Aに対して,何らかの請求をすることができるか。予想されるAからの反論も踏まえて,その当否を理論的に検討しなさい。

出題 京都大学 潮見佳男先生

準備中

☆結果☆
 立論の部:第7位 清水美智代
 質問の部:第3位 柳川夢太郎 第4位 安齋航太
 総合の部:第3位
  出場校…中央・慶應義塾・早稲田・大阪・立命館・関西学院・関西・同志社・神戸

第64回全日本学生法律討論会【刑法】

日時:2014年12月6日 於・早稲田大学



第64回全日本学生法律討論会 問題
分野【刑法】
以下の事例に基づき、甲、乙及び丙の罪責について論じなさい(特別法違反の点を除く。)。
1 A暴力団組員の甲と乙は、B暴力団組長のXを殺害する計画を立てた。その計画は、まず、甲の普通乗用車の中で睡眠薬をXに飲ませて眠らせ、その後、そこから車で10分ほどの無人の倉庫地下室に運び、首つり自殺に見せかけるため、寝ている間に天井から吊して窒息死させるというものであった。
2 某日午後9時頃、甲は、睡眠薬を購入し、他方、乙は、倉庫地下室で待機することになった。午後10時頃、甲は、商談を持ちかけてXを呼び出し、甲の車にXを乗せ、商談場所と見せかけた倉庫地下室に向かった。その間、「うまいコーヒーがある。」と言って、ポットから睡眠薬入りのコーヒーを注ぎ、Xに渡したところ、何も知らないXがそれを飲んだ結果、しばらくするとXは完全に寝入った。
3 午後10時30分頃に倉庫地下室に到着し、甲は、乙にXを引き渡し、倉庫地下室の奥にXを横たわらせたところ、A暴力団組長から甲に急な呼び出しの電話があったので、「組長がちょっと来てくれと言っている。1時間後には戻るから、そのとき一緒に天井に吊して窒息死させよう。」と言って、その場を立ち去った。乙は、倉庫地下室の奥に横たわっているXを監視していたところ、午後11時頃、突然Xが目を覚まし、意識を取り戻したので、「このままではやばい。すぐに殺害しなければ。」と思って、Xの首を素手で力一杯締め上げたところ、Xはその場に倒れた。
4 乙は、Xが死亡したものと思い、甲との計画通り、首つり自殺に見せかけなければと思い、Xを倉庫の天井に吊した。しかし、そのとき、Xはまだ生きており、その後、午後11時30分頃、天井に吊された状態が原因でXは窒息死した。
5 午後11時45分頃、甲は、倉庫地下室に戻り、乙が経緯を説明したところ、甲は、「首を絞めたら、他殺であることがばれてしまうだろう。なにやってんだ。」と激怒し、乙を1回殴りつけ、さらに気持ちが治まらず、数回殴り続けた。そこへ、偶然にも仲間の丙がやってきて、甲が、丙に事情を説明し、「おまえも殴れ。」と言ったので、丙も、甲とともに、乙を数回殴ったところ、乙は、全治1ヶ月の傷害を負った。しかし、この傷害が、丙の関与前に生じたものか、丙の関与後に生じたものかは、証拠上特定は困難であった。
6 午前0時30分頃、甲と丙は、X及び乙を倉庫に放置したまま倉庫前に出ると、Xを探していたB暴力団組員のYがXを奪還しようと突進してきたので、甲は、そばにあったスパナをYに投げつけたところ、Yの顔面に当たり、Yが負傷するとともに、Yにスパナを投げようとしてスパナを振り上げたときに、すぐ後ろにいた丙の顔面にもスパナが当たり、丙も負傷した。
出題者 早稲田大学法学学術院教授 高橋則夫

    準備中

☆結果☆
 立論の部:第9位 島星矢(当時3年)
 質問の部:第2位 前田隆志(当時3年)
  出場校…中央・早稲田・立命館・関西・同志社・神戸・九州・明治・立教・香川・広島・関西学院・鹿児島・駒澤・愛媛・福岡・日本

第63回末川杯争奪法律討論会【憲法】

日時:2014年10月18日 於・立命館大学



分野【刑法】
以下の事例を読み、甲・乙の罪責を論じなさい
(1)甲は、大型スーパーAで買い物をしていたが、少し疲れたので4階の休憩コーナーのベンチで休憩をしていた。ちょうどそのころ、乙は甲の座ったベンチから5m離れたベンチの上に手荷物を置き、自動販売機でジュースを購入して、手荷物の横に財布を置いて、ベンチに座って飲んでいた。乙はジュースを飲み終え、そのまま手荷物を持って立ち上がり、財布を置いたままでその場を離れ、エスカレーターで下りて行った。一連の乙の様子を見ていた甲は、乙が帰ってこなかったら、乙の財布をとってやろうと考えていた。
(2)そのまま2〜3分ほどが経過したが、乙が戻ってくる気配がないことから、甲はあたりの様子をうかがっていると、乙のいたベンチの隣のベンチに座っていたBが財布を注視しているのに気付いた。甲はこのままでは乙が帰ってきてしまうと考え、財布に近づいて行ったところ、Bが自分のことを監視するように見ていたので、Bに「これって忘れものですかね。警備員室に届けた方がいいかな」などと言いながら、財布を手に取りその場を離れ、15m先のエレベーターに乗り込んだ。
(3)乙は財布を置き忘れたまま、地下1階まで下りて行って(4階から地下1階までのエスカレーターによる通常の所要時間は2分ほどである)、買物をしようとしたところ、財布を4階のベンチに置き忘れたことを思い出し、走ってエスカレーターを上って行った。乙が4階まで走って上ってきて、ベンチを見たところ、財布はすでになく、その場にいたBに「ここに財布がなかったですかね?」と聞いたところ、Bはちょうどエレベーターに乗り込もうとしていた甲の姿を指さしながら「あの男が持っていきました!」といった(その時点で乙が財布を置いてベンチを離れてから5分以上が経過していた)
(4)乙はすぐさま甲を追いかけたが、ちょうどエレベーターのドアが閉まってしまった。そこで、乙はエスカレーターを駆け下りていった。甲はエレベーターの中で財布の中身を確認したところ、財布には現金1万円のほかに乙の免許証や、乙名義のC銀行のキャッシュカードが入っていた。
(5)エレベーターが1階に着き、甲はエレベーターから降りて、現金を手に入れて他の物は捨ててしまおうと、Aを出て人気のない路地に入っていった。ちょうどそのとき、乙がエスカレーターから駆け下りてきて、甲の後を追って路地に入っていった。
(6)乙は、甲の後を追いかけて、「財布を返せ!」と言いながら、後ろからとび蹴りを加えたところ、甲は前のめりに滑るように転んだ。乙はさらに甲の背後から馬乗りになり、「この盗人が」といいながら、後頭部を1回殴打した。甲は突然のことで驚いたが、馬乗りになられて後頭部を殴られたことで自分が襲われていることに気づき、格闘技の経験があったことから、背後に馬乗りになっている乙の足をとって後ろ向きに倒し、逆に乙に馬乗りになって、乙の顔面を1回殴打した(なお、甲は何か声がしたかもしれないが、乙が「財布を返せ」「この盗人が」と言った内容は聞こえなかったと供述している)。
(7)甲がさらに乙を殴ろうとしたところ、自分が押さえている男が、先ほど見たベンチの男・免許証の男であることに気付いた。そこで、現金以上の金銭を手に入れるチャンスだと考え、乙が動けないように押さえておいた上で、「おい、お前のキャッシュカードの暗証番号を教えろ。おれの方が強いことは分かっているだろ。抵抗しても余計痛い目をするだけだ。」とドスの利いた声で言ったところ、乙は甲に取り押さえられ身動きが全く取れないことから絶対に勝てないと思ったが、このままでは口座内の金銭まで奪われてしまうことを恐れて、嘘の番号を教えた。
(8)甲はそれを聞いて、追いかけられないように乙の顔面を1回殴打して気絶させその場を立ち去った。乙は1〜2分後意識を取り戻したが、すでにあたりに甲の姿はなかった。甲は乙から離れて近くのC銀行の支店に入り、ATMに乙名義のキャッシュカードを入れて、乙の言った暗証番号を打ち込んだが、暗証番号が違うという表記が出て現金を引き出すことができなかった。 (9)甲は、乙に蹴り、殴打によって、背部・後頭部に各全治1週間の打撲傷、転んだ時に顔面をすりむいたことによって全治2週間の擦過傷を負った。乙は全治4週間の顔面骨折を負ったが、甲のどちらの殴打によって結果が生じたかについては、証拠上明らかにならなかった。



出題:立命館大学教授 倉田 玲

準備中

☆結果☆
 立論の部:第6位 酒井拓朗(当時2年)
  出場校…中央・明治・慶應義塾・神戸学院・神戸・京都・関西・関西学院・同志社

平成26年度第二回関東学生法律討論会(秋討)【憲法】

日時:2014年10月4日 於・慶應義塾大学



平成26年度第2回関東学生法律討論会 問題
以下の事例に基づき、甲、乙の罪責について、具体的な事実を摘示しつつ論じなさい(特別法違反の点を除く。)。
1 甲は、法定の除外事由がないのに覚せい剤を所持したとして、覚せい剤取締法違反被疑事件につき、平成26年3月19日に逮捕され、同月21日に勾留された。
2 甲は、勾留中の同月22日、A県地方検察庁内一時留置場の房内において、検察官の取調べを待っている間、乙と同房となった。
甲と乙とは、そのときが初対面であった。
乙も自己の覚せい剤取締法違反の被疑事実につき検察官から取調べを受けるためにその日、その房にいたものであるが、同人は、甲に対し、「覚せい剤を飲ませた相手になってくれないか。その相手になってくれれば、覚せい剤50グラムをやるし、出てから仕事の面倒もみる。おれは起訴されれば刑務所に行かなければならない。あんたが風邪薬だと言って覚せい剤の入ったカプセルを渡してくれ、それをおれが知らないで飲んだことにしてくれれば、おれは刑務所に行かなくてもすむ。」などと言った。
甲は、覚せい剤の誘惑に負けたことなどから、その話を引受けることにした。
3 そこで、乙と甲は、「2人は、去年の12月の20日すぎころに、B町で初めて会い、そのきっかけは、乙の車を甲が蹴とばしたことで知り合った。その後、今年の1月3日にC町で会い、その次に2月18日ころ、C町のスタジオDの前で待ち合わせ、その時、乙が風邪をひいていたようなので、甲が、覚せい剤をカプセルの中に入れ、『風邪薬』だと言って、乙に渡した。」という全く架空の話を作り上げ、乙は、この話を警察や検事の調べのときに話してほしいと甲に頼んだ。
このような打合せの結果、甲は、同月23日、A県地方検察庁検察官室に呼び出されたとき、乙の右被疑事件の捜査を担当する副検事Eに対し、乙を不起訴にしてもらうため、上記の趣旨の虚構の事実を供述し、同検察官は、その内容を録取し、これを甲に読み聞かせたところ、誤りのないことを申し立てたので、甲の署名指印を求めて、供述録取書を作成した。
4 同月24日18時ころ、上記拘置所内に勾留されていた乙と同室のFは、同拘置所内の居室において、Fのせっけんの使用方法を巡り言い争いになり、乙がFに「お前、この部屋から出て行けや。」などと怒鳴ったところ、Fは乙に対し、「やるんか、こらー、かかって来いや。」などと言いながら、乙に向けて折りたたみ机を持ち上げ、ひっくり返すように押し倒し、乙の左手に同机があたり、乙は加療約3週間を要する左中指腱断裂の傷害を負った。
このため、乙は、Fによるさらなる攻撃を防ぐ目的で、同机をFの方へ押し返した。
この際、同机がFの右手に強くぶつかり、Fは加療約2週間を要する右中指挫創の傷害を負った。
Fは、上記傷害を負って、さらなる攻撃の意欲を失ったが、乙はこのことに気付かなかった。
乙は、Fが今にも起き上がってさらに攻撃を加えてくるのではないかと考えて、Fの上に馬乗りになり同人の髪の毛を左手でつかんで同人が動けないようにした上で、右手で同人の顔面を数回平手打ちにする暴行を加えた。

出題:慶應義塾大学法学部教授 亀井 源太郎

    準備中
☆結果☆
 立論の部:第6位 神田竜輔(当時2年)
 総合の部:第6位
  出場校…駒澤・専修・中央・日本・明治・立教・早稲田・慶應義塾・日本

平成26年度第一回関東学生法律討論会(春討)【民法】

日時:2014年6月7日 於・中央大学



※今大会は中央大学開催です。

Aは、不動産販売等を事業とする株式会社であり、取引先の建設会社が建築する住宅等 を販売することを主な営業方法としていた。平成25年2月、Aは甲土地上に新築する住宅 を販売する計画を立て、甲土地をその所有者から買い受ける契約を結び、甲土地およびそ の上の新築建物の購入者を募集する広告を出した。
平成25年2月5日、Aは、建設会社Bとの間で、注文者をA、請負人をBとし、工事報酬額 1500 万円で居住用2階建ての木造建物(以下では「乙建物」という)を甲土地上に建築する という工事請負契約を締結し、直ちに甲土地はBに引き渡された。乙建物は平成 25年 6月14日 までに完成し、その翌日に甲土地および乙建物はBからAに引き渡された。
他方で、平成 25年 4月28日、Aは、募集広告を見て購入を申し出てきたCとの間で、代金4000万円 で甲土地および乙建物を売り渡す契約を結んだ。契約締結に際して、Aの担当者はCに対し、乙建物 は目下Bによって建築されているが、6月中旬には完成する予定であることを伝えつつ、その基本的構造、 内部の区画および内装の詳細について乙建物の図面を示しながら説明していた。
平成25 年 6 月 30 日、Cは、甲土地および乙建物の登記手続きと引き換えに代金4000万円をAに支払い、 Aから甲土地および乙建物の引渡しを受けた。この際、AはBに対する乙建物の工事報酬債務を完済した。
ところが、平成25年11月30日、乙建物の2階の天井の一部が突然崩落し、付近にいた Cに崩落物が衝突する事故が発生し、Cは頭部等に全治2か月の重傷を負い、3 週間余りの 入院を余儀なくされた。崩落した天井部分の裏は収納スペースになっていたため、Cがそ こに荷物を置いていたところ、荷物とともに天井板が崩落したのだが、Cは指定された制 限重量を超える荷物は置いていなかった。その後の調査で、天井裏を収納スペースとする のに必要な支柱や板の接合工事が十分でなかったことが判明した。Bは、当該天井部分を 含めた乙建物の内部の工事をD工務店に委託していたが、D工務店は、現段階では経営状 態の悪化のために事実上倒産している。

【設問】
(1)Cは、Aに対し、崩落事故による負傷について、損害の賠償を請求することができるか。
(2)Aは、Bに対し、Cの負傷についての損害額に相当する金額の賠償を請求することができるか。


出題者 中央大学大学院法務研究科 古積 健三郎

準備中

☆結果☆
 立論の部:第3位 島星矢(当時3年)
 質問の部:第1位 前田隆志(当時3年)・第4位 島星矢
 総合の部:第1位
  出場校…駒澤・慶應・専修・中央・日本・明治・立教・早稲田