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第65回全日本学生法律討論会【民法】

日時:2015年12月5日 於・福岡大学



平成27年度第65回全日本学生法律討論会 問題
分野:民法
 Cは、18歳になった時、母Bから「これからはあなたも戸籍を見ることがあるだろうから、聞いておいて欲しいことがある」と言われ、次のように話された。
<Bの話>
 あなたとお父さん(Bの夫D)は血のつながった親子である。しかし、戸籍ではあなたはお父さんの養子で、実の父親はAになっている。あなたが養子になっているのは、次のような経緯があったからである。
 Aは私の元夫である。結婚して一年くらいすると、Aは私にたびたび暴言を吐くようになった。そのため、Aと私の仲は悪化し、毎日同じ家で暮らしていたものの、性的関係はなくなっていた。
 私は、Aの暴言に耐えきれず離婚したいと話したが、Aに聞き入れてもらえなかった。私はその頃からお父さんとつき合うようになり、性的関係を持つようになった。
 その後、私はあなたを妊娠した。私は、Aとの性的関係が全くなかったから、あなたはお父さんの子だと確信した。
 私は、別の男性との子を妊娠したとAに話した。Aは激怒し、私を家から追い出した。私はAに離婚したいと話したが、絶対に幸せにさせないと言われ、聞き入れてもらえなかった。
 お父さんと一緒に暮らし始めてから、あなたが生まれた。私は、Aに、あなたの嫡出否認をするよう頼んだが、「離婚と嫡出否認をして欲しいなら金を払え」と言われた。
それがあまりに高額だったので、私は額を減らしてくれるよう頼んだ。しかし、それも聞き入れてもらえなかった。
私とお父さんは、あなたを戸籍の無い子にしたくなくて、Aの名前を父親の欄に記入して出生届を出した。
 その後も折り合いがつかない状態が続いたが、半年くらいしてAは死んでしまった。Aがあなたの養育費を払うことはなかったし、私もAに養育費を払ってもらおうとは思っていなかった。
私は、私の分の相続を放棄したし、あなたの分の相続もあなたを代理して放棄した。
 私とお父さんは話し合って、お父さんがあなたの父親に早くなった方がいいと考えて、お父さんとあなたの養子縁組をした。
 私とお父さんは、ずっとあなたを一緒に育ててきた。あなたがこうした複雑な話を理解できる年齢になったら、話そうと思っていた。
 Cは、これまで養子という自覚が全くなかったため、この話を聞いて、養子という地位に違和感を持った。その違和感は次第に強まり、Cは、Dの養子ではなく実子にして欲しいと強く思うようになった。
 Cは戸籍を訂正できるだろうか。Bの話が真実であるとの前提で検討しなさい。
出題:福岡大学 法学部教授 畑中久彌

    準備中

☆結果☆
 立論の部:第1位 神田 竜輔(当時3年)

第64回末川杯争奪法律討論会

日時:2015年10月24日 於・立命館大学



 Aは、2015年4月1日に、Bの倉庫で自己所有の商品100ケースを保管することを月10万円で依頼し、
処分をする場合にはその都度連絡し直接Bの倉庫から買主に引渡ししてもらう旨を約定し、同日AからBに対して商品100ケースの引渡しがなされた。
各ケースには、自己所有を示すためにA自身により予めA名義のプレートが各ケースの表面に貼り付けられていた。
 Bは、当初は自己の倉庫ですべてを保管していたが、途中で手狭となり、同年5月頃、半分の50ケースを、
自己の事業系列したのCに保管させることにし、引き渡した。Cは、Aのプレートが付いていることで誰の所有物か気になったが、
今までの依頼ではBの所有する在庫品の場合が通例であったので、今回もそうだろうと考えた。
 Bは、同年6月初め頃資金繰りに窮し、Dに対して、信用給与を依頼し、その担保として、自己保管中の50ケースとCが保管中の50ケースをあわせて
(Aの所有であることを気にしつつも、なんとか処分に至る前に返済できるだろうと希望的観測をしつつ)自己所有を装って譲渡し、
Cにもその旨を通知したが、相変わらず、自己保管分は自己の倉庫で、C保管分はCの倉庫で保管する合意がDとの間で成立した。
なお、BはAへの忠誠維持とDへの信頼醸成の二兎を追うために、DのB倉庫 内 の 現 品 検分 の 際には、Aのプレートを一時的にはずしておいた。
Cは、Bの通知を受けて、各ケース上のプレートをAからDの名に書き替えた。
 その後、Aは同年7月頃電話でBに以下の内容を伝えた。保管を依頼している100ケースのうち10ケースをEに処分したので、 引き取りに来るEに渡してほしいと。
Bは、この内容に従って、Eに10 ケースを引き渡したBはDの手前、直ちに自ら同種の商品10ケースを調達し、補充をしておいた。
 同様に、資金繰りに窮したCは、同年8月1日に、たまたま同種の商品を50ケース所有し、同じ倉庫で保管していたが、
(Bに対して別口の売掛債権もあるから発覚しても何とかなるだろうと安易に思いつつ)Bから預かった50ケースと合わせて100ケースをFに売却し、
相変わらず、自己の倉庫で保管する合意を交わした。なお、Cは、FとのC倉庫内での交渉の際、Fから一部にDのプレートが付いていることを問われ、
仕入先の名であり、もう支払いが済んでいるから問題ないとその場をつくろった。
Cは程なく代金を受け取れたので、Fがいつでも自ら処分できるようにとの趣旨でC倉庫の合鍵をFに引き渡した。
 Dは、同年9月1日に、Bが履行期到来にもかかわらず、借入金の返済ができなかったので、
Bの保管する50ケースをGに売却することでその一部を回収することとし、その旨をBに連絡した。
Dは 売却の準備として、Bに予め来訪を連絡せずにB倉庫に赴いたところ、Bの保管する 50ケースのうち40ケースについてA名義のプレートを発見した。
そこで、Dは、困惑したものの、予定通り売却する旨を伝え、名義があるものについてはAからまずDに書き換えさせた。
同月3日にDはB倉庫でGから代金を受け取り、その場でプレートをG名義にさらに書き換えさせ、BはこれからはGのために保管することとされた。
 以上の事実を前提として、Aは、最初にBに保管を依頼した100ケースから後にEに処分した10ケースを除いたものの回復ができるだろうか。
なお、商法の規定ないし商法に関する問題は考慮する必要はない。

準備中

☆結果☆
 立論の部:第4位 金悠都(当時1年)
 質問の部:第1位 金悠都(当時1年)

 

平成27年度第二回関東学生法律討論会(秋討)【憲法】

日時:2015年10月18日 於・駒澤大学大学



平成27年度第2回関東学生法律討論会 問題

 Aは、1974年、Yに対し、東京都下にある自己所有の土地(以下、本件土地という)を期間30年として貸し、
この時以降、Yは、本件土地に家屋を建て、これを住居として使用している。Aは、YがAの事業を献身的に手伝ってくれていたことからYに本件土地を貸したものであり、
「地代」の名目で相場の5分の1程度の金銭をAが受領するものとしたが、地代を安くする代わりに、Yが本件土地にかかる固定資産税を負担するものとしていた。
その後、1985年ころまでに周辺の開発が進んで地価が上昇した結果、当初の地代は、同時期以降、近傍の土地と比較して15分の1程度になっている。
しかし、Aは、「Yには日ごろ世話になっているからこそ本件土地を貸したのであって、そもそも地代などはどれだけ安くても構わなかった」と考えていたため、
その間も地代の値上げを求めたことはなかったし、期間が満了した際にも特段の申入れをすることなく、従来どおりにYによる本件土地の使用を継続させてきた。
他方、Yは、現在に至るまで、地代の支払および固定資産税の負担を怠ったことはなく、本件土地の使用状況も良好である。
 その後、2010年にAが死亡し、Aの子であるX1およびX2がAを相続した(なお、Aの配偶者でありX1・X2の母でもあるBは、すでに死亡しており、そのほかにAの相続人はない)。
本件土地は、遺産分割後、X1およびX2が持分各2分の1として共有している。他方、Aが営んでいた事業については、Aの遺志を承けてX1が社長の座に就いた。
X1は、大学卒業後、Aの事業には携わらずに某外資系企業に勤めていたものであるが、社長就任早々、大胆な経営改革策を打ち出した。そのことをめぐって、
Yを筆頭とする旧経営陣との間で意見の対立が生じ、X1は、Yらからしばしば公然と非難され、
また、Y陣営の取締役の指示を受けた部下によって自宅玄関に「バカ息子」と落書きされるなど、嫌がらせを受けたこともあった。
 このような経緯から、2015年になって、X1は、「AがYから受けた恩顧に報いる理由はもはやないし、タダ同然で土地を貸しているのでは割に合わない」と考え、
本件土地の明渡しを求める訴訟を起こし、これが認められれば本件土地に新しい事業所を開設しようと考えるに至った。なお、X2は、もともとAおよびX1とは疎遠であったこともあり、
事業の経営や本件土地の管理には何らの関心も示していない。そのため、X2は、今回の一件をめぐっても、「本件土地をだれがどのように使おうと構わないし、賃料などを求めるつもりもないが、
その代わり、裁判沙汰はご免なので訴訟提起には一切協力しない」と言っている。しかし、その一方で、本件土地の持分を手放すつもりはないと言う。
 以上の事実関係をもとに、X1、X2およびY間の法律関係を分析したうえ、X1がYに対してすることができる請求と、その成否とを検討しなさい。

出題者:早稲田大学 山城一真 先生

    準備中
☆結果☆
 立論の部:第3位 清水美智代(当時2年)
 総合の部:第3位
 質問の部:第5位 清水美智代(当時2年)

平成27年度第一回関東学生法律討論会(春討)【憲法】

日時:2015年6月14日 於・日本大学



Xは、大阪市α区の選挙人名簿に登録されている者であるが、平成22年7月11日当時、傷害事件、威力業務妨害事件、道路交通法違反・大阪府条例違反事件について懲役刑に処せられて刑務所で服役中であったことから、同日実施された参議院議員通常選挙において、公職選挙法11条1項2号に該当するとして選挙権を有しないものとされた。Xは、選挙権を違法に否定されたことにより精神的苦痛を受けたとして、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償を請求した。
Xは、この訴訟において,公職選挙法11条1項2号は憲法に違反していると主張した。公職選挙法11条1項2号の憲法適合性について,あなたはどのように考えるか。あなたと異なる考え方を批判しつつ,あなた自身の見解を述べなさい(注:本問では被選挙権の制限について論じる必要はない。また、国家賠償法上の違法性についても論じる必要はない。)。


出題者:岡田俊幸(日本大学大学院法務研究科教授)


準備中

☆結果☆
 立論の部:第2位 神田竜輔(当時3年)
  出場校…駒澤・立教・日本・中央・慶應義塾・明治・専修・早稲田