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第66回全日本学生法律討論会
【民法】

日時:2016年12月3日 於・中央大学



平成28年度第66回全日本学生法律討論会 問題
分野:憲法
問題 X 市は、平成 17 年 8 月、同市営住宅条例の規定に基づき、市営住宅の入居者をY1とする旨の決定を行った。ところで、同市住宅条例第 7 条は、「市営住宅に入居することができる者は、次の各号に掲げる条件を備える者とする」との規定が置かれ、その 6 号には「その者及び現に同居し、又は同居しようとする親族が暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成 3 年法律 77 号)第 2 条第 6 号に規定する暴力団員でないこと。」との定めが置かれていた。
また、同条例 46 条は、「市長は、入居者が次の各号のいずれかに該当する場合において、当該入居者に対し、当該市営住宅の明け渡しを請求することができる」と定められ、その 1 項 6 号には「暴力団員であることが判明したとき(同居者が該当する場合を含む。)」との規定が置かれていた。 Y1 は、平成 22 年 10 月当時、暴力団である A に所属する暴力団員であった。X は、警察からの連絡によって、Y1 が暴力団員である事実を知った。
そこで、X は、同月 Y1 に対して、同市条例に基づいて、同年 11 月までに居住している住宅を明け渡すよう請求し た。
なお、本件住宅には、Y1 は居住しておらず、Y1 の両親である Y2 と Y3 が居住している。 本件において、Y1 はどのような憲法上の主張を行うことができるか。またその主張は 認められるかどうかを論じなさい。
出題:中央大学法学部教授 橋本基弘

    準備中

☆結果☆
 質問の部:第5位 安齋航太(当時3年)

第65回末川杯争奪法律討論会

日時:2016年10月29日 於・立命館大学



 「国旗及び国家に関する法律」(以下「国旗国歌法」という。)が制定されて以降、文部科学省は、公立学校の入学式や卒業式において国旗を掲揚し、国家を斉唱するように指導を強めるようになったが、A県では、全国の中で、式典で規律も斉唱もしない教員が特に多く、また、A県知事が教員への国家の起立斉唱の徹底に強い意慾をもっていたことから、20**年に「A県の施設における国旗の掲揚及び教職員による国家の斉唱に関する条例」(以下「本条例」という。)が制定された。 本条例は、国旗国歌法、教育基本法2条5号及び学習指導要領の国旗国歌条項の趣旨を踏まえ、特に次代を担う子どもが伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する意識の高揚に資すること、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うということを目的とする。本条例は、県立学校等の行事において行われる国歌の斉唱にあたっては、教職員は起立による斉唱を行うものと定め、本条例にもとづいて、県立学校等の行事における国歌斉唱の際には、教職員には、起立して斉唱することを命じる職務命令が出され、この職務命令に従わない場合には、懲戒処分の対象となる。
A県立B高校で数学を担当している教員Xは、本条例制定前にすでにB高校に着任していたが、本条例施行後はじめてB高校の入学式にむけて、国歌斉唱の際に起立して斉唱することを内容とする職務命令が、B高校校長から全教職員に対して出された。Xにとっては、「君が代」は天皇への讃美歌といえる内容であり、「君が代」の起立斉唱は、自分のもつ信仰とはあいいれず、決してできないことであった。さらに、この宗教上の理由を別にしても、「君が代」についてさまざまな意見があるなかで、「君が代」の起立斉唱を、学校の入学式のような教育にかかわる公的儀式の場で、公的機関が、参加者にその意思に反してでも一律に行動すべく強制することは、
公的機関として及び教育公務員として許されず、このような行動に参加してはならないと考えた。
Xはこれらのことから、この職務命令の撤回を求めたが、聞き入れられなかったので、Xは、入学式における国歌斉唱の際に、起立もせず斉唱もしなかった。このことで入学式自体には特に混乱は生じなかったが、Xは、職務命令に違反したとして戒告の懲戒処分(以下「本件処分」という。)を受けた。そこでXは、A県を相手取って、本件処分の取り消しと国家賠償を求めて訴訟を提起することにした。
この訴訟において、Xは、どのような憲法上の主張をすると考えられるか、および、その主張の適否について論じなさい(なお、本条例は憲法94条との関係では問題は生じないものとし、また、本件処分に至る懲戒手続きに瑕疵はないものとする)。

準備中

☆結果☆
 立論の部:第3位 池田直(当時2年)

 

平成28年度第二回関東学生法律討論会(秋討)【憲法】

日時:2016年10月2日 於・早稲田大学



平成27年度第2回関東学生法律討論会 問題

 2016年7月10日の参議院議員選挙において初めて18歳選挙権が実現した。Xは、7月10 日の時点で18歳の高校生であった。Xは、家族の住んでいるA村から約30?離れたB市にある高等学校に入学したため、16歳のときから B市内に下宿し、土・日に自宅に帰るという生活を送っていた。
Xは、参議院議員選挙において投票するため、A村の選挙管理委員会Yに選挙人名簿への登録を申請したところ、Yは、XはB市で生活しており、A村に居住しているという実態がないため、選挙人名簿への登録はできない、と拒否された。Xは、両親と兄弟がA村で生活しており、B市での下宿代その他の生活支出は親からの支払いを受けていること、土・日には自宅に帰っていることを説明し、住民票はA村に置かれたままになっていると主張したが、Yは、XがB市に居住している以上、B市で選挙すべきであるとして譲らなかった。
その結果、X は住民票をB市に移す時間的余裕のないまま、参議院選挙において投票することができなかった。
以上の事例において生ずる憲法問題について説明し、YのしたXの選挙人名簿への登録の拒否処分の合憲性について論ぜよ。

出題者:早稲田大学法学学術院教授 戸波江二

    準備中
☆結果☆
 立論の部:第3位 亀川達哉(当時1年)

平成28年度第一回関東学生法律討論会(春討)【刑法】

日時:2016年6月26日 於・明治大学


以下の事例に基づき甲と乙の罪責について論じなさい(ただし特別法違反の点を除く)。 甲は繁華街を歩いていた女子大学生乙に対して、「芸能事務所をやっている者です。あなたはすごくきれいだけど、タレントやモデルになるつもりはありませんか。」と声をかけた。乙は初めのうちは何かの詐欺ではないかと警戒したが、甲が「事務所に来て名簿に登録するだけでも構わないですよ。番組に出演したり、雑誌に掲載されたらその都度お金を払います。あなたが事務所にお金を払うことは一切ないし、まずは気軽にアルバイト感覚でどうですか。もし上手くいけば本格的に芸能界にデビューもできます。」と言うと、乙は親元を離れて日々の生活費を自分で稼いで苦しいことから少しでも生活費の足しになればと思い、甲と一緒に事務所に赴いた。
甲の事務所において、乙はその名簿に自分の名前等を登録したが、そこで甲は「最近は撮影技術が上がって肌のお手入れの悪さは視聴者や読者にすぐ分かってしまいます。知り合いにいいエステの店があるから、そこに行ってはどうですか。」と乙に誘いをかけた。乙はその言葉に戸惑ったが、甲は「エステは安くないから心配になるのは分かります。それならこれでどうでしょう。お店に行ってお勧めのコースを選んでクレジットカードで分割払いにして下さい。月々の引落としに必要な額は撮影料の名目であなたの口座に毎月振込みます。これなら実質無料でエステを受けることができますよ。こちらとしても新人にはなるべく条件を整えて上げたい。」とさらに誘いをかけた。
乙は「実質無料ならいいかも。」と思って、甲の指示に従ってエステ専門のA 店に赴きA店の店長である丙より30万円のエステコースがお勧めであるとの説明を受けた。その金額を聞いて乙は「分割払いにしても自分ではとても払えないし、その当てもない」と思って甲に電話で確認したところ「問題ないです。10回の分割払いにして下さい。月々3万円分をあなたの口座に振り込みます。」との返答を甲から得た。乙は分割払いの金利手数料まで甲に負担してもらうのは気が引けてその言葉を受け入れ、A店で30万円のエステコースを受け、その代金の支払いについては乙名義のクレジットカードで10回の分割払いにするとの契約を結んだ。
その契約に基づき乙はA店でエステの施術を受けたが、初回の分割払いの際には甲の事務所から乙の口座へ振込みがあったので問題は起きなかった。しかし、その後、甲の事務所から乙の口座への振込みはなくなった。乙は2回目の分割払いには何とか対応できたが、3回目の分割払いには対応できず、それ以降は分割払いができない状態に陥った。ところで、甲の事務所には芸能関係の実績が全くなく、また、甲はA店の実質的なオーナーであり、同じような語り口で2か月にわたって乙を含めて若者300人に声をかけ、そのうち乙を含めて若者30人に対しては、乙に対する手法と同様の手法でA店でそれぞれ30万円のエステコースを受けさせ、合計900万円の売り上げを得た。 エステを受けた若者30名の内15名はクレジットカード会社B社発行のカード、その残りの15名はクレジットカード会社C社発行のカードを使用しており、B社は手数料を差し引いた435万円、C社も同じく435万円をA店の口座に振込んだ。しかしながら、乙以外の若者29名も甲の事務所からの振込みがなくなると乙同様に次第に分割払いに行き詰まり、B社は300万円とその金利手数料、C社は270万円とその金利手数料に相当する金額について乙を含めた若者30名から回収できない状態になった。乙を含めた若者30名が事務所に問い合わせをして騒ぎが大きくなると、甲は乙を含めた若者30名との連絡を絶ち、事務所も閉鎖した。なお、丙はA店の実質的なオーナーが甲であることは知っていたが、甲が実際にどのような手段で乙を含めた若者30名を店に集めたかはまでは知らず、単に甲より「若い客を連れていくからほどほどの30万円のコースの説明をしてしっかり施術をしなさい。」との指示を受けていただけであった。



出題者:明治大学法学部准教授 内田幸隆


準備中

☆結果☆
 立論の部:第2位 神田竜輔(当時3年)
  出場校…駒澤・立教・日本・中央・慶應義塾・明治・専修・早稲田